代表挨拶

私たち関東交通犯罪遺族の会(あいの会)は2012年7月8日、3家族4名で立ち上げました。

あいの会は今でも小さな集まりです。
しかし国土交通省、法務省、警察庁、内閣府などの関係官庁への意見提起、各自治体との協同作業、企業や学校、事業者団体、警察、裁判所などでの講演活動、講演会や研修会の開催など、可能な活動をできる限り行ってきました。
交通犯罪遺族という立場から、できるだけ多くの人に交通安全と命の大切さを伝えたいという思いがあるからです。

近年、交通事件の数は減っていると言われています。
しかし今現在も、被害者に非のない交通犯罪によって奪われる命は決して少なくありません。
そして一人の命が奪われるということは、その周りで悲しみ苦しむ家族、そして恋人や友人が何人何十人と生まれるということでもあります。
大切な家族を奪われた悲しみや苦しみを、誰にも相談できず、心のつぶれそうな思いで毎日を過ごすご遺族は、悲しいことですが毎年たくさん生まれ続けています。
交通事件の数が減ったという数字の問題ではなく、絶望に落とされるご遺族が増え続けている現実を知ってほしいと考えています。

一人の命が奪われるということは、残されたご遺族にとって、当然ですがとても大きなことです。
それは大切な家族の存在を失うという悲劇にとどまりません。
悲しむことすら許されないかのように、戸籍や預金、その他の生前の契約にからんで、たくさんの書類手続きを強いられます。
それは大切な家族が生きていた証を消していく苦しい作業となります。
その上さらに、刑事公判、民事訴訟と、まるでベルトコンベアーに乗せられるように、どんなに争い事が嫌いな人であっても、家族の命の尊厳のために闘っていくことを運命づけられます。

私たちあいの会のメンバーは、新しいご遺族からの相談を受けるたびに、たくさんのことを考えさせられます。
・どのような思いをご遺族は抱いているのか。
・何を知りたいと思っているのか。
・警察や検事、弁護士とされてきたやり取りは間違っていないか。
・そこに矛盾や問題はなかったか。
・これまでどういった人たちとつながってきたか。
・ご遺族の方は何をどこまでできそうか。
・ご遺族に対して私たちは何かできそうか。
考えることはどこまでも尽きず、自分たちの経験から伝えられることは伝えるようにしてきました。
そしてご遺族と共に考え、また私たちも知らないことについては一緒に学ぶ姿勢で歩んできました。

私たちは決して法律の専門家ではありません。
どこまでも素人の遺族の集まりです。
ですが経験者として伝えられることは、決して法律の知識だけで解決するものではないと考えています。
いかに私たちの思いを伝えるか。
何がそのご遺族にとって一番良い方向性になりそうなのか。
そうしたことをずっと考え続けて、支援を行ってきました。

冒頭でも書いた通り、私たちあいの会はとても小さな会です。
だからこそ、一番最初に設立メンバー4人で顔合わせをした時からずっと、悲しみや苦しみ、そして笑顔も含めて、膝を突きあわせて話しあえる場を作りたいという思いを抱いています。
今もその思いは何も変わっていません。
だから私たちは、設立から今に至るまで、「笑顔・思いやり・情報共有」を変わらぬモットーに掲げ続けています。

私たちあいの会が目指すことは、交通犯罪をなくして誰も被害者にも加害者にもならない世の中にすること、そして遺族となってしまった方ができるだけ早く被害者支援を受けられるようになることです。
事故のあり方や報道の大小によって、奪われた一人の命の重さが変わるわけではありません。
そのご家族にとって、どれだけかけがえのない存在をなくしたのか。
遺族のそうした共通の思いを世の中に訴える活動をこれからも続けていきたいと思っています。

一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会(あいの会)
代表理事 小沢 樹里

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